top of page
課題 1 2040年 労働供給制約時代がくる
近未来の大きな課題……「2040年問題」

出典 リクルートワークス研究所 未来予測2040
先日、リクルートワークス研究所が発表した「未来予測2040」では、少子高齢化に伴う労働力不足が私たちの社会にどのような影響を及ぼし、どのように対応していくべきかを示しました。
まず、2040年には勤労者が2022年比8割になり、団塊ジュニア世代が65歳以上となる「労働供給制約社会」が到来すると予測されています。これは、少子高齢化によって生産年齢人口が減少し、必要な労働力を社会が供給できなくなる状態を指します。日本ではすでに人口減少が始まっており、労働力の供給不足が深刻な問題となっています。この問題は、今後数十年にわたり続くと予測されております。
労働供給制約社会の到来の背景には、主に二つの原因があります。一つ目は、少子高齢化です。日本の少子高齢化は世界でも最も進んでおり、生産年齢人口の減少が顕著です。これにより、労働市場における供給不足が生じています。二つ目は、生活維持サービスの需給ギャップです。物流、建設、介護、接客などの生活維持サービスの分野で労働力の不足が特に顕著です。これらの職種は社会の基本的な機能を維持するために不可欠ですが、人手不足が深刻化しています。
例えば、輸送や機械操作運転、運搬の分野では2040年には約99.8万人の労働力が不足すると予測されています。さらに、建設業では65.7万人、工場などでの生産工程では112.4万人、商品販売では108.9万人、介護サービスでは58.0万人、接客給仕・飲食物調理では56.6万人、保健医療専門職では81.6万人の不足が見込まれています。これらの不足は、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。




では、私たちはこの問題にどう対処すればよいのでしょうか。リクルートワークス研究所は、4つの主要な解決策を提案しています。
① 徹底的な機械化・自動化
労働力不足を補うために、AIやロボットを活用し、仕事の効率化と省力化を図ることが求められます。これにより、労働供給の押し上げ効果が期待されます。
② 「ワーキッシュアクト(Workish act)」という選択肢
これは、何か社会に対して機能・作用をしているっぽいという意味の「Workish」と様々な活動という意味の「act」を用いた言葉であり、仕事以外の社会活動を通じて労働供給を補完するもので、多様な形で労働力を補うことができます。
③ 「シニアの小さな活動」
シニアが無理なく社会参加できる小さな仕事を提供し、労働供給を補う取組です。
④ 待ったなしのムダ改革
業務のムダを削減し、労働需要そのものを減らすことで、労働力不足に対応することです。
「ワーキッシュアクト」とは、仕事以外の社会活動を通じて労働力を補う取り組みのことです。私たちの社会では、少子高齢化により働く人の数が減少し、特に介護や建設などの分野で人手不足が深刻化しています。そこで、ワーキッシュアクトは、地域のボランティア活動やコミュニティイベントなど、仕事以外の活動に参加することで、こうした不足を補おうとするものです。
具体的には、次のような活動が含まれます。
① 「地域活動への参加」
例えば、地域の清掃活動や子どもたちの学習支援、高齢者のサポートなどです。これにより、地域全体が活性化し、地域の一員としての役割を果たすことができます。
② 「ライフシフトの促進」
定年退職後も元気に活動するシニア世代や、仕事の合間に地域活動を行う現役世代が増えることで、社会全体での労働力を補います。フレックスタイムやリモートワークを利用することで、仕事と地域活動を両立しやすくなります。
③ 「スキルシェアリングとナレッジコミュニティ」
例えば、ITの知識がある人が地域の小規模企業に技術支援を行ったり、料理が得意な人が地域の料理教室を開いたりすることです。町民の持っている知識やスキルを共有し、地域全体のスキルアップを図ります。
④ 「健康寿命の延伸と社会参加」
健康で長生きするためのプログラムを提供し、高齢者が元気に地域活動に参加できる環境を整えます。これにより、高齢者も社会の一員として積極的に貢献できるようになります。
このような「ワーキッシュアクト」は、私たち一人ひとりが少しずつ社会に貢献することで、大きな力となり、地域全体の活力を高めることができます。このような活動を通じて、働く場だけでなく、地域社会全体が協力し合い、助け合う社会を目指します。
次に、「シニアの小さな活動」についてです。
「シニアの小さな活動」とは、定年退職後のシニア世代が無理なく社会参加できるようにするための取り組みです。具体的には、ちょっとした手助けや短時間の仕事、特技や経験を活かした活動を指します。この取り組みは、シニアの皆さんが元気で充実した生活を送りながら、地域社会に貢献できるようにするためのものです。
以上、2040年問題である「労働供給制約時代」の課題解決策の一部を紹介させていただきました。
2040年問題である「労働供給制約時代」では、非常に多岐に亘る課題が生じる可能性があります。2040年は16年後ではありますが、今から周到に準備し、対策を講じていく必要があります。

Workish actは、2つの言葉で表現される。
●Workish:何か社会に対して機能・作用をしているっぽい
●act:(本業の仕事以外の)様々な活動
2016年、「地域共生社会の実現」と叫ばれてから既に8年が経過していますが、地域コミュニティの希薄化などの問題から実現が遠のくばかりです。労働供給を強化する取組として「地域共生社会の実現」を捉えなおすことが重要と思います。
この2つの取組(ワーキッシュアクトとシニアの小さな仕事)を強力に推進するため、私たちは、2040年 「勤労者が8割になる 労働供給制約時代」に備え、意識を改革する必要があります。また、町行政は、下記の施策を実施し、「労働供給制約時代」を乗り越える必要があります。
①町民の意識改革を啓蒙し、後押しする。
②仕事以外の社会的な活動にインセンティブを与える。
③多様な人の力と機械の力を活かし、地域で必要な力を提供していく「トータル・サプライ・コーディネーション」すなわち総合供給調整を行う仕組みを構築し、実施する。

bottom of page